
信託型SOの課税ルールが裁判へ。国の判断が正しいか、ついに決着がつきます。
給与として最大55%課税か、譲渡所得で20%か。そこが大きな分かれ道です。
こんにちは!西荻窪・吉祥寺の相続専門の文鳥、ぶん吉です(ちゅいヨ!)。
もしもあなたが会社から「将来、株を安く買える権利」をもらったとします。最初は「利益の2割を税金で払えばいい」と言われていたのに、数年後に国から「いや、半分以上を税金でもらうね」と急にルールを変えられたらどう思うでしょうか。
今、日本のスタートアップ業界では、まさにそんな「税金を巡る大論争」が裁判に発展しています。多くの企業や社員の運命を左右するこのニュースを、専門家の視点でわかりやすく解説しますね。

信託型ストックオプションの仕組み
信託型ストックオプションは、2014年頃に弁護士やコンサルタントによって考案された画期的な仕組みです。2017年頃から急激に広まり、これまでに約800社もの新興企業などが導入してきました。
この仕組みの最大の特徴は、入社時期に関わらず、社員が公平に権利を得られる点にあります。
ここで使われている「信託」という言葉は、少し難しく聞こえますが、簡単に言うと「特別な箱に権利を預けておくこと」だと考えてください。
従来のやり方では、早く入社した人ほど有利な条件になりがちでした。しかし、信託型では、まず会社が「信託という箱」の中に株式購入権をまとめて入れておきます。そして、後から入ってきた社員でも、会社への貢献度に応じてその箱から同じ価値の権利を受け取れるように工夫されているんだ(ちゅいヨ!)。
税金を巡る国と企業の大きなズレ
この便利な仕組みに、国税庁が厳しい見解を示しました。問題の本質は、税金の種類が「譲渡所得」か「給与所得」かという点です。
企業側は、株を売って得た利益に対して一律約20%を納税する「譲渡所得」だと考えていました。一方、国税庁は、これは会社から受け取る報酬と同じ「給与所得」にあたり、住民税などを合わせて最大55%の税金がかかると判断したのです。
この見解の差は、会社にとっても死活問題です。給与として扱うなら、会社には税金をあらかじめ差し引いて納める「源泉徴収義務」が生じるからです。
そんな中、マーケティング支援などを行うSpeee社が国を相手に訴訟を起こしました。同社は国税庁の見解に従って、本来は個人が負担するはずの税金を肩代わりする形で約14億円もの納付を余儀なくされましたが、「この遡及的な解釈は妥当ではない」として還付を求めています。これほど多額の還付を求める裁判は極めて異例であり、業界全体がその行方に注目しています。
専門家の分かれる意見
この問題については、法学の専門家の間でも鋭く意見が分かれています。
北海道大学の佐藤教授は、国税庁の判断に違和感を示しています。会社が直接社員に権利をあげるのではなく、間に「信託」という第三者が介在している以上、通常の株取引と同様に、現金化した時の利益(譲渡所得)と考える余地が十分にあるという視点です。
一方で、早稲田大学の渡辺教授は、国とは理由付けが異なりますが、給与としての性質は否定できないと述べています。
渡辺教授は、イギリスやアメリカなどで信託が「税負担を回避するためのツール」として使われてきた歴史にも触れ、権利の仕組みを複雑にできる信託を当局が警戒するのは理解できる、とも指摘しています。
よくある疑問(FAQ)
Q: なぜ今になって裁判になっているの?
A: 国税庁が2023年に「あれは給与です」という見解を出し、それまで20%の税金で済むと信じていた企業や社員が大混乱に陥ったからです。
Q: この裁判の結果は私たちに関係ある?
A: はい。民間が知恵を絞って作った新しい仕組みに対し、後から国がルールを変えるようなことが許されるのか、日本のスタートアップの活力や公正な競争に関わる重要な問題です。
まとめと未来への問いかけ
信託型ストックオプションを巡る裁判は、民間企業の知恵や工夫が尊重されるのか、あるいは「租税正義」の名のもとに国が厳格なルールを適用するのかを決める、歴史的な分岐点になります。
国税庁の見解が出て以来、この仕組みを導入する企業は激減しました。もしあなたが、会社を成長させるために新しい仕組みを一生懸命考えた側だとしたら、後から「その工夫は認められない」と高い税金を課されたとき、次も新しい挑戦をしようと思えるでしょうか。
この裁判の結論は、これからの日本のビジネスにおける「革新」と「規律」のバランスに、大きな影響を与えそうです(ちゅいヨ!)。
専門家としての一言(司法書士・1級FPの視点)
企業法務や税務において、最も重要なのは「予見可能性」です。どのような活動をすれば、どの程度の税務コストが発生するのかが事前に明確でなければ、健全な事業計画は立てられません。今回のように、広く普及したスキームに対して後発的に厳しい解釈が示されることは、法的安定性を揺るがす重大なリスクとなります。法廷において、租税法令の厳格な解釈と、社会的な信頼の保護がどのように調整されるのかを、注視していく必要があります。

坂を負う人にまず寄り添い、大切な想いを明日の形へつなぐ司法書士(文鳥をこよなく愛しています)。
東京都西荻窪・吉祥寺エリアを中心に、司法書士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/民事信託士/上級相続診断士の4つの視点を持つ専門家として活動しています。
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