
会社法改正で取締役の賠償に上限を設け、思い切った経営判断を後押しします。 失敗を恐れず挑戦できる環境を作り、日本の会社を元気にすることが目的です。
こんにちは!相続専門の文鳥、ぶん吉です(ちゅいヨ!)。
みなさんは、もし自分が会社の社長だったとして、仕事で何か失敗をしたときに「13兆円払ってください」と言われたらどう思いますか?そんな金額、個人のポケットマネーでは絶対に払えませんよね。実は今、日本の大きな会社のリーダーたちは、こうした「とんでもない額の弁償金」を請求されるかもしれないという、とても恐ろしいリスクと隣り合わせで仕事をしています。
このままでは、みんな怖がって新しいことに挑戦しなくなってしまうかもしれません。そこで、会社法というルールを2027年ごろに向けて変えて、リーダーたちが安心して前向きな判断ができるようにしようという動きが始まっているんです。

巨額の弁償金が経営者を震えさせている現状
今、経営者が抱えている訴訟のリスクは、木の上から荒波を見下ろすような、足がすくむほどの大きさになっています。
たとえば、東京電力の福島第一原発事故をめぐる裁判では、かつての経営陣に対して、なんと合計13兆3210億円という、気の遠くなるような数字の賠償が命じられたことがあります(のちに高裁で取り消されましたが、リスクの大きさは変わりません)。また、オリンパスの不正会計の問題でも、約594億円もの支払いが命じられ、判決が確定しています。
もし仕事上のミスで、一生かかっても払いきれないような、人生が終わってしまうほどの請求が来るとしたらどうでしょうか。「損をするかもしれないけれど、未来のために新しい翼を広げて挑戦しよう」という、思い切った判断ができなくなってしまいます。
この状況について、東京大学の田中教授は次のように警鐘を鳴らしています。
「事前に責任を限定しなければ経営判断の萎縮につながる」
つまり、あらかじめ「責任を負うのはここまで」というラインを決めておかないと、社長さんたちが怖がって縮こまってしまうのです。
全てのリーダーが対象になる新しいルール
これまでは、社外から招かれた「社外取締役」など、一部の人たちだけが「責任限定契約」という、弁償金に上限をつける契約を結ぶことができました。しかし、法務省は2026年度中に要綱案をまとめ、このルールを大きく広げようとしています。
これからは、会社のトップである「代表取締役(社長)」や、会社の中でバリバリ働く「中の役員」もこの契約を結べるようになります。会社を引っ張るすべてのリーダーたちが対象になるのです。
ただし、どんな時でも守られるわけではありません。「善意(わざとではないこと)」であり、なおかつ「重大な過失(誰が見てもひどすぎるミス)がないこと」が条件です。
このルールが広がることで、経営の自由度が高まるだけでなく、リスクを恐れて日本での就任をためらっていた海外の優秀な人材も、日本の役員として呼びやすくなるという大きなメリットがあります。
実際に支払う金額はどのくらいになるのか
上限ができるといっても、全く払わなくていいわけではありません。
具体的な上限額は会社と役員で話し合って決めますが、会社法で定められている「最低責任限度額」がひとつの目安になります。
・代表取締役(社長など)の場合:年間の報酬の6倍
・その他の役員の場合:年間の報酬の4倍
「年収の数倍」と聞くと、それでも高いと感じるかもしれません。しかし、今の「数兆円」や「数百億円」という、個人の持ち物や貯金では絶対に払えない額に比べれば、ずっと現実的な範囲といえます。
これなら、もしもの時も人生が完全に壊れてしまうことはありません。リーダーが責任感を持って仕事をしつつ、思い切った勝負もできる絶妙なラインなのです。ちゅいヨ!
保険だけでは守りきれない理由
「会社には保険があるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
確かに「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」という、役員のトラブルをカバーする保険はあります。しかし、保険には支払われる金額に天井があります。あまりに大きな損害が出た場合、保険というバケツから補償があふれ出してしまい、結局は役員個人が莫大な金額を背負わなければならないケースがあるのです。
実は、海外ではすでにこうしたルールが当たり前になっています。たとえば、アメリカのデラウェア州やネバダ州では、わざとやった悪いことや詐欺でない限り、役員の責任を免除したり制限したりする仕組みが整っています。
日本もこうした世界のルールに合わせることで、日本の会社が世界という大空で戦いやすくしようとしているのです。
よくある疑問(FAQ)
Q1:悪いことをした社長も守られてしまうの?
いいえ、そんなことはありません。このルールは、あくまで「会社のために一生懸命やったけれど、結果的に失敗してしまった」場合のためのものです。わざと悪いことをしたり、あまりにもひどい不注意(重大な過失)があったりした場合には、今まで通り厳しい責任を負うことになります。
Q2:会社に損害を与えたのに、責任が軽くなるのはずるくない?
一見そう見えるかもしれませんが、責任が重すぎると、誰もリーダーをやりたがらなくなってしまいます。優秀な人が「自分の一生を賭けるのは怖すぎる」と言って辞めてしまったら、会社は成長せず、そこで働く人たちの給料も増えません。会社が元気に成長し続けることは、結果的に社会全体を潤すことにつながります。
まとめとこれからの景色
今回のルール変更は、一見すると「偉い人たち」だけの話に見えるかもしれません。しかし、会社が失敗を恐れずに新しい設備投資や買収に挑戦できるようになれば、日本全体の経済が活発になり、私たちの生活も豊かになっていきます。
守りに入るのではなく、未来のために挑戦できる環境を整える。これが今回の改正の大きな目的です。
もしあなたが会社のリーダーだったら、このルールがあることで、今よりも思い切った挑戦ができますか?
専門家としての一言(司法書士・1級FPの視点)
今回の会社法改正は、企業のガバナンスとリスク管理のあり方を大きく変える一歩となります。責任の所在を明確にしつつ、役員の過度な個人負担を軽減することは、コーポレート・ガバナンスの健全な機能と持続的な企業価値の向上に寄与するでしょう。経営陣が適切にリスクをコントロールしながら、積極的な成長投資へ踏み切るための重要なインフラ整備であると評価できます。

坂を負う人にまず寄り添い、大切な想いを明日の形へつなぐ司法書士(文鳥をこよなく愛しています)。
東京都新宿区・中野区を中心に、司法書士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/民事信託士/上級相続診断士の4つの視点を持つ専門家として活動しています。
法務と資金計画の両面から、ご家族の「安心」と「納得」をワンストップでサポート。対面相談を大切にしつつ、オンラインで「東京の実家・不動産」に関する全国からのご相談にも対応しています。
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