後見制度支援信託とは?良心的な家族が「まるで犯罪者扱い」される3つの理不尽

こんにちは!相続専門の文鳥、ぶん吉です(ちゅいヨ!)。

大切な親御さんの将来を考え、「もしも判断能力が衰えてしまったら…」と、成年後見人になることを検討されている方もいらっしゃるかもしれません。親のために、財産をしっかりと守り、安心して暮らせるようにしてあげたい。その純粋な気持ち、とても尊いものです。

ですが、もし、その良かれと思って後見人になったのに、まるで不正を疑われるかのように、高額な費用がかかる制度の利用を迫られたらどうでしょうか…?

「成年後見制度」は、認知症や障害などで判断能力が不十分になった方の財産を守り、ご本人を支援するための大切な制度です。そして近年、後見人による財産の使い込みを防ぐ目的で、「後見制度支援信託」や、より利用しやすい「後見制度支援預貯金」といった仕組みが全国の家庭裁判所で急速に広がっています。これは国も後押しする大きな動きで、令和元年(2019年)には利用促進の目標が設定され、令和4年(2022年)には金融機関の導入割合が約69%に達するなど、すでに社会のスタンダードになりつつあります。

これらの仕組みは、後見制度支援信託を原型としており、いずれも本人の財産の大部分を裁判所の管理下に置くことで安全性を高めるものです。この記事では便宜上、この仕組み全般に触れますが、その理想とは裏腹に、真面目に務めを果たそうとしている家族が直面する「3つの理不尽」について、実際のケースをもとに解説していきます。

1. 真面目に管理していても「支援信託」か「高額な監督人」を強制される

まず驚くべきは、本人の財産が一定額(例えば500万円以上の流動資産)ある場合、これまで家族がどれだけ誠実に財産を管理していても、裁判所から「後見制度支援信託」などの利用か、専門家である「後見監督人」の選任を強く勧められるという実態です。

なぜこのような画一的な対応がなされるのでしょうか。背景には、裁判所が抱える構造的な問題があります。新たに発生する後見事件は年に約3万件のペースにのぼり、累計では20万件を超えてしまいました。この膨大な数の案件を個別に細かく監督する余裕がなく、結果として「一律に実施されている」のが実情なのです。

そのため、個々の事情はほとんど考慮されません。

  • ケース4のDさん: 父親の後見人を5年間、真面目に務めてきました。しかしある日、裁判所から「一定以上の財産があるから」という理由だけで支援信託の利用を勧められました。
  • ケース5のEさん: 弟が母親の後見人になる際、資産が多いという理由で監督人を付けるよう言われました。姉であるEさんも弟を全面的に信頼しており、弟自身も会社の経営者です。お互いに裕福で、万が一の心配など全くしていませんでしたが、そうした個別の信頼関係は考慮されませんでした。
  • ケース7のGさん: 4年間、問題なく母親の後見業務を行ってきたにもかかわらず、裁判所に呼び出され、「設定に30万円ほど弁護士費用等がかかる支援信託」か「月に数万円の手数料が必要な後見監督人」かの二者択一を迫られました。

この「勧め」は事実上の強制です。なぜなら、支援信託の利用を拒否すると、裁判所の権限で月々の報酬が必要な後見監督人が付けられてしまうからです。結局、どちらかの費用を本人の財産から負担せざるを得ないのです。

ケース4のDさんは、「父親の財産を使い込む可能性があると疑われているようでとても不愉快であった」と感じています。不正など全く考えていない善意の家族にとって、これは経済的負担だけでなく、深い精神的ストレスにもなっています。しかも、これが法律の改正ではなく、家庭裁判所の「運用方針の変更」によって行われているという点も、当事者のやるせなさに拍車をかけています。

善意が疑われるなんて、ぶん吉も胸が苦しくなります。

2. 「専門家なら安心」は幻想? 横領や“合法的”な放置も起こっている

裁判所がこれほどまでに厳格な監督を良心的な家族に課すのは、不正を防ぐという大義名分があるからです。しかし皮肉なことに、その裁判所が選任した「専門家」こそが、深刻な不正や職務怠慢を引き起こしているケースがあるのです。

もともと後見制度支援信託は、親族後見人による不正防止が主目的でした。そのため、当初は専門職後見人には適用されていなかったのですが、その隙を突く事件が発生しました。

  • 不正行為の事例(ケース1): 家庭裁判所から選任されたある弁護士が、後見人に就任して短期間のうちに、託された財産を全額着服するという事件が起きました。専門家という肩書が、人格の保証にはならないことを示す悲しい事例です。

さらに衝撃的なのは、金銭的な横領だけでなく、信じがたい職務怠慢のケースです。

  • 職務怠慢の事例(ケース8): 後任の後見人Hさんが調査したところ、前任の司法書士は、以下のような驚くべき状態を放置していました。
    • 本人は胃ろうで食事をしていないのに、月4万5千円の食費を預金から引き落とし続けていた。
    • 本人が受給できるはずの障害年金の申請手続きをしていなかった。
    • 施設にいる本人にほとんど面会せず、不適切な生活環境に放置していた。

Hさんは前任者を訴えましたが、裁判所の判断はさらに衝撃的でした。裁判所は、食費や年金に関する金銭的な損害(約1,000万円)は認めました。しかし、本人への面会を怠ったことについては「後見人の裁量で適切な方法を選ぶことが許容されている」として、前任者の責任を認めなかったのです。

この判決に対し、Hさんはこう訴えています。

このような判断が許されるなら、認知症や障害者の生活が脅かされる

これは財産管理の問題ではありません。人の尊厳の問題です。専門家だから安心、とは決して言い切れない厳しい現実がここにあります。

3. 財産を守りすぎて、本人のための柔軟な資産活用ができない

「後見制度支援信託」の最大の目的は財産の保全ですが、その運用があまりに厳格すぎるため、かえって本人のためにならない「財産の塩漬け」状態に陥るリスクがあります。

この制度は、「財産を1円でも減らさない」という短期的な視点に偏りがちで、本人の生活の質(QOL)向上や、長期的な利益につながる柔軟な資産活用を著しく困難にします。

  • 柔軟な対応ができない事例(ケース6):
    • 本人の財産を使って、老朽化した駐車場をアパートに建て替え、長期的な収益を増やそうとしても、「短期的に額面上の財産が減る」ため認められない。
    • 本人の配偶者が介護施設に入るためのお金など、家族のために本人の財産を使うこともできない。

このように、制度が財産の額面上の維持を最優先するあまり、本人のより良い生活や、家族全体の幸福までを考慮した対応ができなくなるという「パラドックス」が生じてしまっているのです。

まるで大切な巣箱を頑丈にしすぎて、出入りできなくしてしまったみたいです。

結論

今回見てきたように、成年後見制度は、

  1. 真面目な家族後見人に対し、高額な費用負担を事実上強制する運用
  2. 「専門家だから安心」とは言えない、横領や職務怠慢のリスク
  3. 財産を守りすぎるあまり、本人のための柔軟な活用を妨げる硬直性 といった、深刻な課題を抱えています。

もちろん、成年後見制度や支援信託が、判断能力の衰えた方の財産を守るという重要な目的を持っていることは間違いありません。しかし、その運用方法が、当事者である本人や、善意で支えようとする家族の意に沿わない結果を招いているのもまた事実です。

最後に、みなさんに問いかけたいと思います。

財産を「数字」として守ることと、本人や家族の「幸せな生活」を守ること。これからの制度は、どちらをもっと大切にしていくべきなのでしょうか?

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