「争族」を防ぐ遺言書の書き方|付言事項の活用ポイント

「遺言を、最後のラブレターに。」というメッセージが書かれた情緒的な解説図。
1.なぜ「争族」が起きるのか:法的正しさ(骨組み)だけで「想い」がないと、遺された家族のモヤモヤが争いの火種になる。
2.想いをかたちにする2つの方法:【言葉で】付言事項として財産を分けた理由や感謝のメッセージを添える。【声と表情で】ビデオメッセージにより、文章だけでは伝わらない温度感を届ける。
結論:遺言は単なる財産を分ける書類ではなく、想いを託す贈り物であるという考え方を提示。

東京都新宿区の家族信託・相続専門 司法書士シエンでは、相続・遺言・家族信託・生前対策のご相談を日々お受けしています。

実務の現場では、「遺言はあるのに、結局もめてしまった」といういわゆる争族のご相談が少なくありません。その原因は、分け方の内容そのものというよりも、

  • なぜその分け方にしたのか
  • どんな思いで遺言を書いたのか

が、残されたご家族にきちんと伝わっていないことにあります。

この「思いの部分」を、言葉として遺言に載せるのが付言事項です。シエンでは、この付言事項こそが争いを防ぎ、故人の思いをそっと支える一番大切な部分だと考えています。

さらに当事務所では、付言事項の文章に加えて、ご本人の声と表情でメッセージを残す「ビデオメッセージサービス」もご用意しています。

このページでは、付言事項とは何か、どう書けば争族を防ぐ力を発揮するのか、そしてシエン独自のビデオメッセージサービスも含めた遺言づくりの方法について、具体的にご紹介します。

なぜ遺言書があっても「争族」が起きてしまうのか

典型的には、次のようなパターンでトラブルが生まれます。

  • 内容は法律的に間違っていないが、理由が一切書かれていない
  • 特定の子に手厚く遺しているのに、ほかの子への配慮が見えない
  • 生前贈与や学費援助を考慮しているが、説明がなく「不公平」と感じられる
  • 再婚や前婚の子がいるのに、人間関係への目配りが文章に反映されていない

残されたご家族の本音は、こうです。

「なぜこう書いたのか、本人にもう聞けない」
「自分だけ軽く扱われたのではないか」

この「答えのないモヤモヤ」が、感情的な対立や長期化する遺産分割の火種になります。
法律的に整った遺言であっても、思いが伝わらなければ争族は起こり得る、というのが実務の感覚です。

付言事項とは何か

付言事項とは、遺言書の本文とは別に書き添えるメッセージの部分です。

  • 家族への感謝やねぎらい
  • 分け方の背景や理由
  • ご自身の人生を振り返っての思い
  • これからの家族への願い、祈り

といったことを、自由な言葉で残すことができます。

法律上、付言事項には原則として強い法的効力はありません。しかし、遺言を受け取る側が「この遺言を素直に受け入れられるかどうか」を大きく左右する、とても重要な部分です。

遺言の本文が「骨組み」だとすれば、付言事項は「血の通った心の部分」と言えます。

シエンが付言事項を「一番大切にしたい部分」と考える理由

司法書士シエンの理念は、大切な想いに寄り添える場所でありたいという言葉に集約されます。

遺言は、単に財産を分けるための書類ではなく、「大切な人にどんな想いを託したいのか」を、言葉と仕組みの両方で整える営みだと考えています。

付言事項は、まさにその「想い」の部分を形にして残す場所です。シエンでは、この付言事項の作成を、他のどの事務所よりも大切にしていきたいと考え、次のような流れでじっくりとお話を伺います。

  • 生まれた地域や、ご家族との幼少期の思い出
  • 学生時代、どんなことに夢中になっていたか
  • 就職してから、仕事の中で大事にしてきた価値観
  • 結婚した当時のこと、パートナーへの気持ち
  • お子さんが生まれたときに感じたこと、今伝えたいこと
  • これまでの人生で、一番つらかったこと・うれしかったこと
  • 今振り返って、家族一人ひとりにかけたい言葉

遺言者様の「人生の物語」を丁寧にインタビューし、その物語が自然と伝わるように、付言事項の文章をトータルプロデュースしていきます。

決まり文句を当てはめるのではなく、ご本人の言葉やエピソードがきちんと立ち上がる文章に仕上げることを大切にしています。

争族を防ぐ付言事項のポイント(シンプル版)

細かい技術論を挙げればキリがありませんが、実務的に特に重要なのは次の三つです。

分け方の理由を具体的に書く全員への感謝とねぎらいを入れる将来へのお願いを「命令」ではなく「願い」として伝える

この三つを意識するだけでも、遺言の受け取られ方は大きく変わります。

付言事項の例文

(実際のご依頼をもとに、一部内容を変更しています)

ここでご紹介する文章は、司法書士シエンが実際にお客様のご依頼で作成した付言事項をもとに、プライバシーに配慮して、一部内容や固有名詞を変更したものです。

ご本人の人生やご家族のエピソードをどのように文章にしていくのか、イメージの参考にしていただければ幸いです。

例文1 先立った妻への思いと、子どもたちへのメッセージ

妻〇〇へ。
先に旅立ってしまった君のことを、今でもふとした瞬間に思い出します。
子どもたちが巣立った後も、二人でゆっくり旅行をしようと話していましたが、その約束を果たせなかったことだけが心残りです。
向こうの世界で、また君に会える日を、少しだけ楽しみにしています。
そちらに行ったら、二人で並んで、子どもたちや孫たちのことを見守っていきましょう。
今まで本当に、ありがとう。

長男△△・次女□□へ。
母さんがいなくなった後、二人がそれぞれの場所で懸命に生きている姿を見て、父さんは何度も励まされました。
不器用な父親だったので、十分には伝えられませんでしたが、二人を心から誇りに思っています。
私がいなくなった後も、お互いの違いを認め合いながら、ときどきでいいので顔を合わせてください。
母さんと私の一番の願いは、二人がそれぞれの人生を大切にしながら、細くてもいいのでつながり続けてくれることです。

例文2 幼い頃の「夜間救急」の記憶を込めた長男への付言

長男〇〇へ。
君がまだ赤ん坊だった頃のことなので、君自身は覚えていないと思いますが、ある冬の夜に高い熱を出したことがありました。
あの夜、母さんと私は、慌てて毛布にくるんだ君を抱えて、夜間に診てくれる病院を探して、真っ暗な中を車で走り回りました。
一軒目では受け入れてもらえず、二軒目でも「いっぱいです」と断られ、三軒目でようやく診察してもらえたとき、
母さんと二人で、診察室の前で小さく泣きながらほっとしたことを、今でも昨日のことのように覚えています。

その後も、運動会で一生懸命走る姿、受験前に黙って机に向かう後ろ姿を見るたびに、あの夜の小さな体と、赤くなったほっぺたを思い出していました。

今回の遺言で、自宅を君に託すことにしたのは、今もこの家を守り、私たちの暮らしを支えてくれていることへの感謝と、これからもこの場所が、君と君の家族の拠り所になってくれたらという願いからです。

どうか、この分け方を「誰がどれだけ得をしたか」という物差しではなく、君のこれまでの歩みと、家族への思いを込めた一つの選択として受け止めてくれたら嬉しく思います。

例文3 家族それぞれへの具体的なエピソードを添えた付言

長女〇〇へ
小学校の入学式の日、少し大きめのランドセルを背負って、緊張した顔でこちらを振り返った姿が忘れられません。
あの日から今日まで、本当によく頑張ってきました。
仕事と家庭を両立させながら、自分の人生を切り開いているあなたを、親として誇りに思っています。

二男△△へ。
学生時代、三者面談の帰り道に「思うようにいかない」とぽつりとこぼしたことがありましたね。
それでもあきらめず、自分なりの道を探していく姿勢は、親の私のほうが学ばされる思いでした。

三女□□へ。
一番年下でありながら、家の中では誰よりもよく周りを見て動いてくれていました。
祖母の入院中、嫌な顔ひとつせず病室に付き添ってくれたことは、一生忘れません。

今回の遺言では、それぞれの現在の生活状況や、これまでの支援の内容を踏まえたうえで、分け方を考えました。完全な「平等」は難しいかもしれませんが、私なりに精一杯「公平」だと思える形にしたつもりです。

どうか、この付言を読みながら、一人ひとりとの思い出を少しだけ思い返してもらえたら嬉しく思います。そして、私がいなくなった後も、ときどきで構いませんので、きょうだいで集まり、他愛もない話をしながら笑っていてください。

付言事項とセットで残す「ビデオメッセージサービス」

司法書士シエンでは、文章での付言事項に加えて、

  • ご本人の声
  • 表情
  • 話し方や間(ま)

といった、その方ならではの温度感も一緒に残しておきたい、というお声を多くいただいてきました。

そこで当事務所では、オプションとしてビデオメッセージサービスをご用意しています。

これは、ご本人がご家族一人ひとりに向けたメッセージを動画で撮影し、遺言書や付言事項と一緒にお渡しする、司法書士シエン独自のサービスです。

ビデオメッセージサービスの内容

ビデオメッセージサービスでは、次のような流れでサポートを行います。

付言事項の作成のためのインタビュー

ご本人の生い立ちやこれまでの人生、ご家族への思いをじっくりお聞きします。

メッセージ内容の整理(台本づくり)

付言事項の文章と連動させながら、動画でお話しする内容の骨子を一緒に整理します。 話すのが苦手な方には、簡単なメモや台本をご用意することもあります。

ビデオ撮影(対面またはオンライン)

事務所にお越しいただいて撮影するほか、オンラインでの撮影にも対応します。かしこまりすぎず、普段のご様子が伝わる自然な雰囲気で撮影していきます。

データの整理とお渡し

撮影した動画を基本的な範囲で調整したうえで、USBメモリ等のデータ媒体としてお渡しします。保管方法についてもご相談いただけます。

なお、ビデオメッセージはあくまで「思いを伝えるための動画」であり、遺言書そのものの法的効力を持つものではありません。

法的に重要な内容は、公正証書遺言などの本文できちんと定めたうえで、
ビデオメッセージはその「心の部分」を補う役割を担うものと位置づけています。

なぜ付言事項とビデオメッセージを組み合わせると喜ばれるのか

付言事項とビデオメッセージをセットで残すことで、残されたご家族にとっては次のようなメリットがあります。

  • 文章だけでは伝わりにくい「声のトーン」や「表情」が分かる
  • 何度も見返すことで、気持ちが揺れたときの支えになる
  • 遠方に住む家族にも、同じ内容の動画をそれぞれ共有できる
  • 時間が経ってからも、「こういう人だった」という記憶を家族で分かち合える

実際に、動画を受け取られたご家族からは、
「文字で読むだけより、表情や話し方がそのまま残っていることがありがたかった」
「悩んだときに父の声を聞くと、少し落ち着いて話し合える」
といったお言葉をいただくことが多くあります。

付言事項で「言葉」を整え、ビデオメッセージで「声と表情」を残す。この二つを組み合わせることで、ご本人の想いが、より立体的に、ご家族の心に届きやすくなると感じています。

どの遺言形式でも、付言事項とビデオメッセージはセットで検討を

付言事項は、自筆証書遺言でも、公正証書遺言でも付けることができます。ビデオメッセージは、いずれの形式の遺言とも組み合わせることが可能です。

特に公正証書遺言の場合は、

  • 本文(法的にブレのない設計)
  • 付言事項(人生と想いが伝わる文章)
  • ビデオメッセージ(声と表情で伝えるメッセージ)

この三つを事前にしっかり整理しておくことで、公証人との打ち合わせもスムーズになり、法律面と感情面の両方に配慮した遺言づくりが可能になります。

シエンでは、「手続きとして正しい」だけでなく「残されたご家族の心にきちんと届く」遺言になるよう、トータルでサポートしていきます。

ご相談方法(対面/オンラインのハイブリッド)

司法書士シエンでは、次の2つの方法でご相談をお受けしています。

対面相談(ご来所)

東京都新宿区北新宿の事務所で、落ち着いた環境の中、じっくりお話を伺います。新宿区・中野区を中心に、首都圏近郊の方に多くご利用いただいています。

オンライン相談(Zoom など)

全国どこからでも、画面を共有しながら遺言の内容や付言事項、ビデオメッセージの内容を一緒に検討できます。遠方にお住まいのご本人と、首都圏にお住まいのお子様が、それぞれ別の場所から同時に参加されるケースも増えています。

地元の方は「近いから事務所で直接話したい」、遠方の方は「オンラインでじっくり相談したい」。
そのどちらのニーズにも対応できる体制を整えています。

相続・遺言のご相談・お問い合わせ

  • 家族が争わない遺言を用意しておきたい
  • 自分の人生をきちんと言葉にして、家族に伝わる付言事項を書きたい
  • 声と表情も含めて、ビデオメッセージとして残しておきたい
  • 家族信託など、他の方法も含めて総合的に検討したい

という方は、どうぞ一度ご相談ください。

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付言事項とビデオメッセージは、単なる「おまけ」ではなく、
あなたの大切な想いを、明日の家族へ静かに渡していくための大事な橋渡し役です。

その部分こそ、司法書士シエンが一番大切にし、丁寧にお手伝いしていきます。

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