
親御さんが証券会社やネット証券で株式・投資信託を持っていたものの、亡くなられたあと「どこに何があるのか分からない」「証券会社に何を出せばいいのか分からない」というご相談はとても多くあります。
銀行預金と違い、株式や投資信託は値動きがあるため、「早く売った方がいいのか」「そのまま相続して持ち続けるべきか」という判断も必要になります。
東京都新宿区の家族信託・相続専門「司法書士シエン」では、不動産や預貯金の相続手続きに加えて、証券会社の口座に入っている株式・投資信託の相続手続きについても、証券会社とのやり取りを含めてサポートしています。
- 株式・投資信託の相続手続きの全体像
- 証券口座をそのまま相続(名義変更・移管)する場合の流れ
- 相続した株・投資信託を売却する場合の流れと税金の注意点
- 複数の証券会社・ネット証券がある場合の整理の仕方
- 専門家に依頼した方がよいケース
「まず何から手をつければいいのか」をイメージしながら読んでいただければと思います。
株式・投資信託の相続手続きの流れ(全体像)
まずは、株式・投資信託の相続手続きを、大まかな流れで押さえておきましょう。
- 相続人と遺産(保有している株・投信)の確認
- 遺言書の有無・内容の確認
- 遺産分割の方針決定(誰がどの証券を引き継ぐか・売却して現金で分けるか)
- 証券会社への連絡・「相続手続き書類一式」の取り寄せ
- 必要書類の収集・記入(戸籍・残高証明・遺産分割協議書など)
- 証券会社へ書類一式を提出
- 相続人名義の証券口座に移管、もしくは売却・換金
- 必要に応じて相続税・譲渡所得税の申告確認(税理士と連携)
銀行と違い、証券会社ごとに必要書類や手続きの名称が微妙に違うため、「同じことを何度も書かされている気がする」「説明書を読んでもよく分からない」というストレスを感じる方も少なくありません。
一つ一つを分解して進めれば難しい手続きではありませんが、相続登記や預貯金の解約と同時並行で進めると、どうしても負担が大きくなります。できるだけ早めに全体像を整理し、必要であれば専門家に伴走してもらうことをおすすめします。
証券会社への連絡前に確認しておきたい3つのポイント
証券会社に連絡する前に、次の3点を整理しておくと手続きがスムーズです。
- どの証券会社に口座があるか
- 通帳・取引報告書・株主優待の案内・配当金計算書などから、証券会社名を洗い出します。
- ネット証券の場合は、メールボックスを検索してみると見つかることが多いです。
- どれくらいの残高・銘柄があるか
- 残高証明書や取引報告書から、おおまかな金額・銘柄・投資信託名を把握します。
- 金額の大きさによって、「すぐ売却するか」「そのまま承継するか」の判断も変わります。
- 遺言書の有無
- 公正証書遺言や自筆証書遺言などがある場合、「株式は長男へ」「投資信託は配偶者へ」といった指定があるかを確認します。
- 遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの証券を承継するか話し合う必要があります。
これらをざっくりでもいいので整理してから証券会社に連絡すると、「どの口座についての相続手続きか」を相手にも伝えやすくなり、その後の書類のやり取りもスムーズになります。
株式・投資信託をそのまま相続する場合(名義変更・移管)
「今すぐ売って現金化するよりも、将来の値上がりを期待して、そのまま相続人が持ち続けたい」というケースも多くあります。
この場合は、次のような流れで「名義変更(移管)」を行います。
コールセンターや営業店に連絡し、「相続手続き書類一式」を取り寄せます。
一般的には、次のような書類が求められます。
- 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本一式
- 相続人全員の戸籍・住民票
- 遺言書、または遺産分割協議書
- 相続人の本人確認書類(運転免許証など)
- 同じ証券会社に口座があれば、その口座に移管するケースが一般的です。
- 口座がない場合は、相続手続きと同時に相続人名義の新規口座を開設する必要があります。
【メリット】
- 値上がりが期待できる銘柄をそのまま保有できる
- 配当金や分配金を今後も受け取ることができる
【デメリット・注意点】
- 値下がりリスクをそのまま引き継ぐことになる
- 相続人自身が今後の管理・売却のタイミングを考える必要がある
- 相続税の対象評価額と、実際の将来の売却額が大きくズレることもある
「とりあえず全部売って現金で分ける」のか、「一部は売却、一部は長期保有する」のかは、相続人それぞれの生活状況や今後のライフプランによっても変わります。
司法書士シエンでは、FP(ファイナンシャルプランナー)としての視点も踏まえながら、バランスを一緒に考えていきます(なお、具体的な税額計算は税理士の先生と連携して行います)。
相続した株・投資信託を売却する場合の流れと税金の注意点
「相続人全員で話し合い、株や投信は売って現金で分ける」と決めるケースも多くあります。
この場合の基本的な流れは次の通りです。
- 相続手続きにより、いったん相続人名義の「相続口座」や通常の証券口座に移す
- 相続人名義の口座で株・投信を売却する
- 売却代金を相続人間で分ける(遺産分割協議の内容どおりに振り分ける)
証券会社によっては、「相続口座の中で売却し、現金を相続人に分配する」方式を用意しているところもあります。どの方法が取れるかは証券会社ごとに違うため、手続き案内を確認することが大切です。
【税金の基本的な考え方】
- 上場株式や公募株式投資信託の譲渡益には、原則として約20%台の税率(所得税・住民税)がかかります。
- 被相続人がいくらで買ったか(取得価額)を引き継ぐ形で計算されるのが原則です。
- 特定口座(源泉あり)の場合、証券会社が自動で計算・源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要なケースもあります。
一方で、
- 一般口座で管理されている銘柄が混ざっている
- 相続税がかかるほどの財産規模で、相続税と譲渡所得税との関係を整理したい
といったケースでは、税務がやや複雑になることもあります。
このような場合には、無理にご自身だけで判断せず、税理士と連携している専門家に相談しながら進める方が安全です。司法書士シエンでは、業際を踏まえつつ、税理士の先生をご紹介のうえ連携してサポートすることも可能です。
複数の証券会社・ネット証券に口座がある場合の進め方
最近は、ネット証券を含め複数の証券会社に口座を持っている方も珍しくありません。
その場合は、次のような手順で整理していくと混乱が少なくなります。
- 証券会社ごとに一覧表を作る
- 「証券会社名」「口座番号」「おおまかな残高」「主な保有銘柄」を書き出します。
- 優先順位を決める
- 残高が大きいところから先に手続きを進める
- 手続きが簡単なところ(窓口のある証券会社)から先に進めて「慣れる」
- 似た書類を「共通化」して考える
- 各証券会社で求められる戸籍・住民票・遺産分割協議書などは、基本的に同じものです。
- 一度そろえておけば、コピーや原本還付を活用して効率的に提出できます。
こうした「整理・優先順位づけ」を相続人だけで行うのが大変な場合、専門家側で一覧表の作成からお手伝いすることも可能です。
よくあるご質問
相続税の申告期限(原則、相続開始から10か月)とは異なり、証券会社の相続手続き自体に法律上の「期限」はありません。ただし、長期間放置すると、配当金・分配金の受け取りが煩雑になったり、必要書類の取得が難しくなることがありますので、できるだけ早めの手続きをおすすめします。
名義人が亡くなると、通常の売買は停止されます。証券会社の「相続手続き」に沿って、相続口座や相続人名義の口座に移してから売却する流れが一般的です。
上場株式とは手続きや評価方法が異なります。会社側のルール(譲渡制限など)も関係してきますので、会社から渡されている資料を一式ご持参いただき、個別に確認しながら進めていく必要があります。
ご相談事例
ここからは、実際にあったご相談イメージをご紹介します(個人が特定されないよう一部内容を変更しています)。
事例①:新宿区在住・60代女性(長女)のケース
お父様が大手証券会社2社とネット証券1社で株式・投信を保有しており、「証券会社からの郵便物が山のように届いているが、どこから手をつけていいか分からない」とのご相談でした。
司法書士シエンでは、証券会社ごとに一覧表を作成し、
- まずは金額の大きい証券会社1社から相続手続き
- 遺産分割協議で「株式は長女がすべて承継する」方針を整理
- 名義変更が完了した銘柄のうち、一部を売却し、今後の生活費の原資を確保
という流れでサポートを行いました。
事例②:中野区在住・50代男性(長男)のケース
お父様がネット証券でNISA口座を含めた株式・投資信託を多数保有していたケースです。相続税はかからない規模でしたが、「NISA口座はどうなるのか」「全部売るべきなのか」が分からず不安とのことでした。
ネット証券の相続手続きの案内を一緒に確認し、
- 一般口座・特定口座・NISA口座それぞれの取り扱いを整理
- 今後の教育資金・老後資金の計画も踏まえ、「一部はそのまま長期保有、一部は売却して現金化」という方針を決定
- 税務的な確認が必要な部分については税理士をご紹介
という形で、オンライン面談中心にサポートしました。
事例③:杉並区在住・70代女性(妻)のケース
ご主人が長年コツコツと買い続けていた株式・投資信託を、奥様がすべて相続されるケースでした。
奥様は今後、
「自宅のリフォーム費用の一部に充てたいが、全部売ってしまうのも不安」
というお気持ちでしたので、
- 生活費・リフォーム費用として必要な分だけ売却
- 残りは、値動きやリスクを説明したうえで、分かりやすい投資信託を中心に長期保有
という形に整理しました。売却益の税金については、税理士と連携して確認しながら進めました。
司法書士シエンにご相談いただくメリット
株式・投資信託の相続手続きは、本やインターネットで調べながらご自身で進めることも不可能ではありません。しかし、相続登記・預貯金・保険・遺言など、他の手続きも同時に発生することが多く、「仕事をしながら、家事・子育てをしながら」これらをすべてこなすのは簡単ではありません。
司法書士シエンにご相談いただくメリットは、例えば次のような点です。
- 不動産・預貯金・株式など、複数の相続手続きを一括して整理
- 相続登記や家族信託など、将来の対策も含めたトータルな提案
- FP1級としてのライフプランの視点から、「売る・残す」のバランスを一緒に検討(税額計算は税理士と連携)
- 遠方のご家族ともオンライン面談・メール・LINE等を活用した情報共有
「株のことだけ」「証券会社の書類の書き方だけ」というピンポイント相談も歓迎ですし、「相続全体を整理したい」というご相談も多くいただいています。
ご相談の流れ(対面/オンライン)
- お問い合わせフォーム・お電話・LINEなどからご連絡ください。
- 「株式・投資信託の相続手続きの相談をしたい」とお伝えいただければスムーズです。
- 相続人の構成、証券会社・保有銘柄の状況、他の相続財産とのバランスなどを丁寧にヒアリングします。
- 必要に応じて、相続税や譲渡所得税の観点も含めて「どの専門家と連携すべきか」を整理します。
- どの証券会社から、どの順番で手続きを進めるか
- 名義変更と売却のバランスをどうするか
を具体的なステップに分けてご提案し、費用のお見積りをご説明します。
- 委任状の作成・必要書類の取得・証券会社とのやり取りなどを、可能な限り事務所側で代行・サポートいたします。
- 相続手続き完了後も、「今後の資産の持ち方」「遺言や家族信託での将来対策」などについて継続的なご相談も承っています。
新宿区・中野区など近隣エリアの方は、事務所での対面相談でじっくりお話を伺うことができます。
遠方にお住まいの方や、ご家族が別々の地域にお住まいの場合は、Zoom等を使ったオンライン相談にも対応しています。
「親が残してくれた株や投資信託を、家族で上手に引き継ぎたい」というお気持ちが少しでもあれば、お一人で抱え込まず、どうぞ一度ご相談ください。