
2024年、米国でビットコイン現物ETFが承認され、市場にはわずか数ヶ月で18兆円規模という驚異的な資金が流入しました。世界中の投資家がこの新しい金融商品に注目する中、日本では同様のETFの解禁が2028年になる見通しです。米国から4年もの遅れをとることに、多くの人が疑問を抱いているのではないでしょうか。
「なぜ日本では解禁が4年も遅れるのか?」
一般的には、その理由として「投資家保護」という言葉が挙げられます。もちろんそれは重要な要素ですが、実はそれだけではありません。この記事では、その公式な理由に加え、解禁時期を「2028年」にピンポイントで固定した、より決定的な「もう一つの理由」を解き明かします。その舞台裏には、日本の金融市場の安定を考え抜いた、極めて戦略的な判断が隠されていました。

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1. 第一の理由:投資家保護という揺ぎない方針
日本でのETF解禁が遅れる一つ目の理由は、投資家保護のための環境整備に時間を要するためです。仮想通貨(暗号資産)は価格変動が非常に大きく高リスクな商品である上、過去には不正流出事件も相次ぎました。このため、日本の金融庁は規制の見直しを極めて慎重に進めてきたのです。
具体的な動きとして、金融庁は2026年の国会に、仮想通貨の交換業者に対して情報開示や流出対策の強化を義務付ける金融商品取引法の改正案を提出する予定です。高リスクな金融商品に対して国民の安全を第一に考えるという、この慎重なアプローチは、日本の規制当局が守ってきた一貫した哲学の表れであり、それ自体は合理的な判断と言えるでしょう。
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2. 真のキーポイント:ETF解禁を左右する「税制」との絶妙なタイミング
しかし、投資家保護の準備だけで4年という歳月を説明することはできません。今回の遅れの核心であり、真のキーポイントとなるのは「税制」とのタイミングです。
税制改正の内容
まず、2026年度の税制改正において、仮想通貨取引で得た利益にかかる税金が大きく変更される方針が固まりました。現在は、他の所得と合算して税率が決まる「総合課税」の対象であり、税率は最大で55%に達します。これが改正後には、株式や投資信託などと同じ一律20%の「申告分離課税」へと変更されるのです。
ETF解禁との関係性
ここが最も重要な点です。もし、この税制改正が行われる前にビットコインETFが解禁されたら何が起きていたでしょうか。
ETFは税制上、有利な「申告分離課税」(20%)で取引できるのに対し、投資家が直接売買する現物のビットコインは不利な「総合課税」(最大55%)のまま、という「税のねじれ」が生じてしまいます。この状況では、多くの投資家が税制的に不利な現物取引から離れ、ETFに資金を移すことは確実です。その結果、国内の仮想通貨の現物市場が細ってしまうという深刻な懸念がありました。
この市場の混乱を避けるため、政府は極めて戦略的な判断を下しました。つまり、2026年度に決定する「仮想通貨の分離課税への移行」の施行タイミングを、2028年の「ETF解禁」と完全に一致させるという計画です。これは単なる遅延ではなく、国内市場の健全性を維持するために緻密に計算されたスケジューリングなのです。
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3. 国際的な背景:訴訟で動いた米国と、差を広げられる日本の現実
日本の状況を国際的な文脈で見てみましょう。先行する米国ですが、その承認プロセスは必ずしも順風満帆ではありませんでした。
米証券取引委員会(SEC)は当初、ビットコインETFに対して極めて否定的で、20件以上もの上場申請を却下してきました。しかし、ETF化を拒否するSECの姿勢を不服とした業界側が訴訟を起こし、裁判でSECが敗訴したことで、承認へと舵を切らざるを得なくなったのです。つまり、米国の先行は先進的な政策判断というより、司法判断に後押しされた結果という側面が強いのです。
一方で、一度承認に転じた後の米国の動きは非常に速く、特に仮想通貨大国を目指す政権の方針も後押しとなり、関連政策を積極的に推進しています。このスピード感に対し、日本の金融関係者からは懸念の声も上がっています。
日本がこのスピード感だとどんどん差が開いていく
日本の慎重なアプローチは国内市場の安定をもたらすかもしれませんが、結果的に加速している米国との差は広がりつつあります。この戦略が長期的に見て吉と出るか凶と出るかは、まだ分かりません。
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結論:計算された遅延か、失われた機会か
ここまで見てきたように、日本のビットコインETF解禁の遅れは、単なる慎重さや規制の遅滞だけが理由ではありません。それは、投資家保護という大義名分のもと、税制という国内の特殊事情と完璧にタイミングを合わせた、極めて戦略的な判断の結果なのです。
この周到な計画は、投資家保護と市場の安定を実現する賢明な策となるのでしょうか。それとも、世界の潮流から取り残され、大きな投資機会を逃すことになるのでしょうか。その審判が下されるのは、未来の投資家たちが待つ2028年です。

坂を負う人にまず寄り添い、大切な想いを明日の形へつなぐ司法書士(文鳥をこよなく愛しています)。
東京都新宿区・中野区を中心に、司法書士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/民事信託士/上級相続診断士の4つの視点を持つ専門家として活動しています。
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