不動産

不動産投資の常識が変わる?専門家が明かす、2026年以降の意外な「狙い目」トップ3

2026-02-01

1. 導入:なぜ今、不動産投資の「常識」をアップデートすべきなのか

「デフレ脱却」への期待が高まり、金利の先行きが注目される中、資産形成の手段として不動産投資への関心が再び高まっています。多くの人が「インフレになるなら、都心のオフィスビルやマンションの家賃が上がるはずだ」といったシナリオを思い描いているかもしれません。

しかし、世界の不動産市場を知り尽くした専門家は、少し違う視点を持っています。米不動産投資顧問ラサール・インベストメント・マネージメントでグローバル投資戦略を率いるブライアン・クリンジック氏は、私たちがまだ知らない「意外な投資のチャンス」が生まれていると指摘します。

この記事では、同氏が語る「これからの不動産投資」のトップ3のポイントを、分かりやすく解説します。あなたの「常識」をアップデートする、新たな視点が見つかるはずです。

ポイント1:日本市場の本当の魅力は「企業統治改革」にあり

海外の投資家が日本市場に興味を持ち始めたのは、単に「インフレ転換で賃料が上がる」と期待しているからだけではありません。より本質的な理由として、**「コーポレートガバナンス(企業統治)改革」**が挙げられます。

これまで日本の大企業は、優良な不動産を資産として長く保有し、なかなか売却しないため、海外投資家にとっては取得が難しい市場でした。しかし、近年の改革の流れを受け、企業が事業と関連の薄い不動産を売却する動きが活発化しています。これは、これまで市場に出てこなかった質の高い物件が手に入る絶好の機会が生まれていることを意味します。

専門家は、この変化を次のように見ています。

「最近はコーポレートガバナンス(企業統治)改革などに伴い不動産が手放されるようになり、日本で投資機会が生まれているという共通認識が広がってきている」

これに加え、日本の不動産市場は収益性不動産において世界で3番目に大きく流動性が高いこと、そして法制度などが整っており、透明性がアジアで最も高いことも、海外から投資資金を引き寄せる大きな魅力となっています。

ポイント2:日本の狙い目はオフィスビルではない? 「ホテル・賃貸住宅」が有望な理由

不動産投資と聞くと、多くの人が都心のきらびやかなオフィスビルを想像するかもしれません。しかし専門家は、2026年以降の日本市場で特に有望なアセットとして**「ホテル」「賃貸住宅」**を挙げています。

その最大の理由は、この2つのアセットが**「短い期間で賃料を改定できる」**点にあります。物価が上昇していくインフレ環境下では、賃料を柔軟に見直せる物件の方が収益を上げやすいため、投資妙味があるのです。特にホテルは、インバウンド(訪日外国人)需要の増加という強力な追い風も吹いています。

一方で、これまで王道とされてきた「オフィス」については、注意が必要だと指摘されています。需要自体は旺盛ですが、賃料を上げられる物件とそうでない物件の二極化が始まっています。また、オフィスは設備の管理・運営にかかる費用が大きく、立地や建物のグレードによっては利益を出すのが難しくなっているのが実情です。

「都心のオフィスビルなら安泰」という単純な考え方では通用しなくなってきているのかもしれません。

ポイント3:海外の意外な投資先 ― 米国の「ただの更地」と欧州の「アウトレット」

視点を海外に移すと、さらに意外な投資機会が見えてきます。

まず米国で注目されているのが**「IOS(インダストリアル・アウトドア・ストレージ)」**です。これは、コンテナの積み替えや電気自動車(EV)の充電ステーションなどに使われる、建物がほとんどない産業用の物流拠点、つまり「広い更地」のことです。

なぜこれが「狙い目」なのでしょうか。その理由は、土地オーナーの心理にあります。

「土地オーナーはせっかく何かを建てるのであれば、象徴的な建物を建てて雇用などを生み出したいと考えるため、IOSの供給は少なく狙い目だ」

つまり、誰もが積極的にやりたがらないからこそ供給が限られ、希少価値が生まれているのです。

一方、欧州では**「アウトレット」**が有望視されています。インフレによって家計が圧迫される中で、割引価格で買い物ができるアウトレットの需要が高まっているのが背景です。スーパーなどと比べて初期の投資負担を抑えやすく、高い利回りが期待できる点も魅力とされています。

5. 結論:常識を疑う視点が、次のチャンスを生む

この記事で紹介した3つのポイントを振り返ってみましょう。

  1. 日本の本当の魅力は、インフレ期待だけでなく「企業統治改革」にある。
  2. 国内の狙い目はオフィスビル一辺倒ではなく、「ホテル・賃貸住宅」にシフトしている。
  3. 海外では、米国の「更地」や欧州の「アウトレット」といったニッチ市場にチャンスがある。

これらはすべて、一般的なイメージとは少し異なる「専門家の視点」です。多くの人が見ている方向とは違う場所に、次の大きなチャンスは眠っているのかもしれません。

私たちの身の回りにも、常識というフィルターを外して見つめ直せば、まだ見ぬ投資のチャンスが眠っているのではないでしょうか?

なぜ!?東京の家賃が過去最高!19ヶ月連続更新の「意外な理由」とは?

2026-02-01

こんにちは!相続専門の文鳥、ぶん吉です(ちゅいヨ!)。

最近、東京周辺の家賃がどんどん高くなっていると感じませんか?実はそれ、気のせいではありません。最新のデータによると、家賃は驚くべき記録を更新し続けているんです。今回は、その記録的な家賃高騰の裏にある、意外な理由を分かりやすく解説していきます。

衝撃の事実①:東京23区の家賃は「19ヶ月連続」で過去最高を更新中

まず、最も衝撃的なデータからお伝えします。2023年12月、首都圏における単身者向けマンション(専有面積30㎡以下)の平均家賃が、調査開始の2015年以来、過去最高を記録しました。

特に家賃水準が最も高い東京23区では、以下のようになっています。

  • 平均家賃:10万6854円
  • 過去最高値の更新は、これで19ヶ月連続
  • 前年の同じ月と比べた上昇率は**11.1%**で、これも過去最高

ちなみに、この家賃には管理費や共益費も含まれています。それにしても、すさまじい上昇トレンドですね。これには、ぶん吉もびっくりです(ちゅん!)!

衝撃の事実②:都心だけじゃない!家賃高騰は「郊外」にも波及している

「都心の家賃が高いなら、郊外に住めばいい」と考えるのは自然なことです。しかし、その動きが新たな現象を生んでいます。

東京23区の家賃があまりにも高いため、多くの人が郊外に目を向け、その結果、郊外エリアの家賃も過去最高値を更新しているのです。

  • 東京都(23区以外): 6万3994円
  • 神奈川県: 7万6049円
  • 埼玉県: 6万7901円
  • 千葉県: 7万2006円

都心から郊外へと、家賃高騰の波が「しみ出している」状況がはっきりと見えます。

専門家が分析する「意外な理由」:春の引っ越し需要の”前倒し”

では、なぜ12月という時期に、ここまで家賃が跳ね上がったのでしょうか?専門家はその理由を「春の引っ越し需要の前倒し」だと分析しています。

これは、本来であれば1月以降に本格化する春の引っ越しシーズンを避けたいと考える人たちが、早めに動き出している現象です。1月からの繁忙期は、引っ越し費用が高騰したり、希望の物件が押さえにくくなったりするためです。

特にこの動きを牽引しているのが、推薦入試などで早くに進路が決まった学生たち。彼らが12月の時点で活発に部屋探しを始めたことが、家賃相場を押し上げる大きな要因となったのです。

アットホームラボの磐前淳子氏は、この状況を次のように指摘しています。

春の引っ越し需要の前倒しが起きている

まとめ

今回のポイントをまとめると、東京23区の単身者向け家賃は19ヶ月連続で過去最高を更新しています。その背景には、繁忙期を避けるための「春の引っ越し需要の前倒し」があり、この強い需要が都心だけでなく郊外の家賃まで押し上げる結果となっていました。

この家賃高騰のトレンドは、今後私たちの住まい選びにどのような影響を与えていくのでしょうか?

えっ、ウソでしょ!?あなたのマンション、実は「負動産」かも?維持費高騰の不都合な真実5選

2026-01-31

こんにちは!相続専門の文鳥、ぶん吉です(ちゅいヨ!)。

多くの人が夢見るマイホーム、特にマンションは憧れの的ですよね。でも、その裏で今、大変なことが起きています。「ここ5年で3回目の管理費値上げ要請だ…」と、ある大規模マンションの理事さんが頭を抱えていました。

そう、買った後にずっと払い続ける「維持費」が、とんでもない勢いで値上がりしているんです。これは一時的な雨宿りなんかじゃなくて、長く続く嵐の始まりなんだよ。

この記事では、マンション所有者やこれから購入を考えている人が絶対に知っておくべき、維持費に関する驚きの事実を5つ、わかりやすく解説していきます。

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1. 維持費は「気づかぬうち」に4割も上がっていた

まず衝撃的な事実からお伝えします。私たちが毎月支払っているマンションの維持費が、このわずか5年で2〜4割も値上がりしているという調査結果があるんです。

住宅情報サイトLIFULLの調査によると、5年前と比較して月々の負担額は、日常管理に使う**「管理費」が最大18%、そして大規模修繕に備える「修繕積立金」は最大で43%も高騰**しています(※70平方メートル換算)。

なぜ、こんなに急激に上がっているのでしょうか?理由は主に2つです。

1. 構造的な人手不足: 管理員さんや修繕工事を行う職人さんが慢性的に不足しています。

2. 資材価格の高騰: 修繕に使う材料の値段がどんどん上がっています。

これは短期的な問題ではなく、専門家も次のように警鐘を鳴らしています。

「積立金、管理費とも構造的な人手不足で上昇しており、沈静化する気配が今のところ全くない」

つまり、この値上がりは今後も続く可能性が非常に高いということです。

2. 「うちの積立金は足りている」は、ただの幻想かもしれない

「うちは計画通りに積立金を集めているから大丈夫」と思っていませんか?実は、その安心は危険な幻想かもしれません。

国土交通省の調査では、「修繕計画に対して積立金が不足している」と回答したマンションは**36.6%**でした。しかし、さくら事務所の土屋輝之氏は「実際はもっと多い」と見ています。というのも、「不明」と答えたマンション(23.5%)は現状を把握できておらず、「実態は不足している可能性が高い」からです。

さらに恐ろしいのは、「計画より多く集まっている(余剰)」と答えたマンション(39.9%)ですら、決して安心できないという事実です。

スマート修繕の別所毅謙氏によると、首都圏の修繕工事費は過去4年間、毎年5%ずつ上昇し続けています。多くの修繕計画はこの物価上昇(インフレ)を考慮していないため、計画上は足りていても、実際に工事をする時にはお金が足りなくなるのです。

「インフレを正確に反映していなければ、計画に対しては『余剰』でも実際は足りない恐れがある」

その結果、何が起きているか。積立金不足を補うため、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を利用するマンションが急増し、2024年度の融資額は過去最高の257億円に達しました。これは、多くのマンションが「借金」をしなければ大規模修繕ができない、という厳しい現実の表れなのです。

3. 安易な「管理会社変更」は命取りになる

管理会社から管理費の値上げを要請されたとき、「じゃあ、もっと安い管理会社に変えればいいや」と安易に考えてしまうのは非常に危険です。

人手不足は特定の会社の問題ではなく、**「業界全体の傾向」**だからです。そのため、どの管理会社も人件費は上がっており、会社による料金の差はほとんどなくなってきています。

むしろ、管理会社を変更しようとして、もっと悪い事態に陥るケースも増えていると、専門家の別所氏は指摘します。

「値上げを避けるために管理会社の変更を決めたものの、次に引き受けてくれる管理会社がないという例も増えている」

管理会社が見つからなければ、マンションの管理そのものが滞ってしまい、大切な資産の価値を大きく損なうことになりかねません。今の枝から飛び立ったはいいけれど、次に止まる枝がない、なんてことになったら大変だよ。

4. 本当のコスト削減は「長期的な視点」から生まれる

短期的なコストカットが難しい一方で、本当に効果的な対策は**「修繕周期の見直し」**です。

これは、マンションの長期修繕計画を根本から見直すアプローチです。例えば、専門家の土屋氏は次のような方法を提案しています。

一般的な12年周期の修繕を、18年周期に延ばす

仮に築60年まで住むと考えると、修繕回数が5回から3回に減ります。これにより、トータルで**「工事費を数億円単位で削減できる」**可能性があるのです。

ただし、これには一つ重要なポイントがあります。周期を延ばすためには**「より高い耐久性の資材を使う」**必要があり、1回あたりの工事費はむしろ高くなります。

ここがミソなんだ。1回ごとの工事費は上がっても、工事の”回数”が劇的に減るから、建物の寿命全体で考えた総コストは大きく下がる。この「頻度を減らす」という発想が、数億円規模の節約を生む鍵なんです。

この点を所有者全員が理解し、合意を形成するためには、**「少なくとも半年から1年程度の検討や議論が必要」**となり、根気のいる取り組みになります。

5. 購入検討者は「積立金の妥当性」を必ずチェックすべし

最後に、これからマンションの購入を検討しているあなたへ。 購入後に「こんなはずじゃなかった…」と、思わぬ支出増で家計が苦しくなる事態を避けるために、契約前に必ず以下の点をチェックしてください。

国のガイドラインと比べて、積立金が妥当な水準か

周辺の同じようなマンションの相場と比べて、管理費や積立金が安すぎたり高すぎたりしないか

「維持費が安い」というだけで物件を選ぶと、将来、急激な値上げや一時金の徴収に苦しむことになるかもしれません。

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結論

ここまで見てきたように、マンションの維持費高騰は、もはや他人事ではありません。 何もしなければ、大切な資産であるはずのマンションが、家計を圧迫する「負動産」になりかねないのです。

では、どうすればいいのか?専門家の別所氏が言うように、最も重要なのは**「まず現状を把握し、早めに所有者間の話し合いを始めておく」**ことです。

あなたのマンションの長期修繕計画、次の値上げはいつか、きちんと把握していますか? 今すぐ確認してみることが、将来の資産を守る第一歩だよ(ちゅん)!

「億ション」が当たり前の東京、政治が語りたがらない住宅問題”4つの深層”

2026-01-30

導入部:問題提起

東京23区の新築マンション価格が、2025年には前年比21.8%増の1億3613万円に達する──。この予測が示すように、もはや「億ション」は特別なものではなくなりました。多くの人にとって、都心に住まいを持つことは「手の届かない夢」となりつつあります。

この深刻な住宅問題は、来る衆院選の大きな論点の一つです。各政党は様々な対策を公約として掲げていますが、その裏には、より本質的で、しばしば見過ごされがちな構造的問題が潜んでいます。本記事では、その中でも特に重要な4つの深層を掘り下げ、問題の核心に迫ります。

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1. 「外国人の投機」は悪者か? 政治が頼るシンプルな”敵”

衆院選の公約を見ると、自民党は「首都圏などの投機的売買の抑制」を、日本維新の会も「外国人・外国資本による土地取得規制」を掲げています。価格高騰の原因を「外国人による投機」という外部要因に求めるこの構図は、有権者にとって分かりやすい”敵”を設定し、複雑な国内問題から目を逸らせる古典的な政治手法です。

しかし、この対策だけで問題が解決するほど単純ではありません。不動産価格の上昇は、投資マネーの流入だけでなく、人手不足による人件費の上昇、資材費の高騰、都市部における大規模物件用地の枯渇、そして利便性を重視する共働き世帯の増加といった、複数の構造的要因が絡み合った結果です。この問題の核心について、三井住友トラスト基礎研究所の大谷咲太氏は、次のように構造的な問題を指摘しています。

根本的には東京にどんどん人が流入して需給が逼迫していることが背景にある

特定の誰かを”敵”に仕立て上げる対症療法では、東京への「人口一極集中」という根深い需給問題は解決しないのです。

2. 良かれと思った支援策が、逆に家賃を押し上げる皮肉

一方で、家計への直接支援を訴える政党もあります。中道改革連合は「若者・子育て世帯への家賃補助」を、国民民主党は「家賃控除制度」を公約に掲げています。これらは、目の前の住居費負担を和らげるため、政治的には非常に人気のある政策です。

しかし、ここには経済政策の典型的な罠が潜んでいます。これは典型的な「需要サイドへの補助金」であり、供給が限られている市場で需要だけを刺激するものです。結果として、多くの人がより高い家賃を支払う能力を持つことになり、賃貸相場全体が押し上げられてしまうリスクを内包します。善意から生まれた政策が、供給不足という根本原因を放置したまま、意図せずして家賃インフレを加速させるという皮肉な結末を招きかねません。

3. カナダも導入した「空室税」は、万能薬ではなかった

投機的な不動産保有を抑制する切り札として、国民民主党が公約に盛り込んだのが「空室税」です。これは、居住目的でなく投機目的で住宅を空き家のままにする所有者に対し、自治体が税金を課す制度です。

カナダのトロント市では2022年から同様の「空き家税」が導入され、現在では物件の評価額の3%という高率が課されています。しかし、人口流入が続く同市では、住宅価格は依然として高止まりの状況が続いています。

トロント市の事例は、大谷氏が指摘する「需給の逼迫」という根本原因を無視した対症療法がいかに限定的な効果しか持たないかを如実に示しています。「税による対策は焼け石に水だ」という同氏の見解を裏付けるように、需給の巨大なアンバランスの前では、税による市場コントロールには限界があるのです。

4. 本当の解決策は足元に? 57万戸の”お宝空き家”という衝撃の事実

これまで議論の多くは、「どうやって新しい住宅を供給するか」という点に集中してきました。しかし、本当に目を向けるべきは、足元に眠る膨大な既存資産かもしれません。

国土交通省の調査によると、駅から1キロメートル圏内にあり、かつ十分な耐震性能を持つ利用可能な空き物件が、全国に「57万戸」も存在するという衝撃の事実が明らかになっています。全国には実に386万戸もの活用可能な空き家があるのです。

私たちは、気づかないうちに膨大な「お宝」を眠らせています。問題は、新築住宅が足りないことだけではありません。むしろ、これまでの新築供給に偏りがちだった住宅政策そのものを見直し、これらの未活用住居をいかにして適正価格の住宅として市場に流通させていくか。その視点こそが、今まさに求められています。

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結論:未来への問い

東京のマンション価格高騰は、外国人の投機や資材費の上昇といった個別の要因だけで語れる単純な問題ではありません。その根底には、東京への「人口一極集中」という需給の歪みと、これまで続けてきた「新築中心の住宅政策」という、2つの大きな構造的課題が存在します。

驚くべきことに、政府の推計では2050年までに東京23区の大半が人口減少に転じると予測されています。現在の住宅不足への対応に追われる一方で、長期的には余剰が生まれるという矛盾。この事実を踏まえるならば、解決策は明らかです。

政治が短期的な対症療法に終始する中、真の解決策は私たちの足元に眠っている。問われているのは、”新築を建て続ける”という過去の成功体験から脱却し、”今ある家を賢く使いこなす”という未来へ、社会全体で舵を切る覚悟があるかどうかだ。

なぜ2639億円の中野サンプラザ再開発は白紙になったのか?計画リセットの裏に隠された3つの意外な真相

2026-01-28

多くの人に親しまれてきた「中野サンプラザ」の解体後、その跡地を巡る総事業費2639億円の巨大再開発計画が白紙になったニュースは、大きな衝撃を与えました。一般的には区民の反対が原因と見られがちですが、本質はより複雑です。なぜ計画は頓挫したのか。そして、このリセットが未来の中野にとって何を意味するのか。

本稿では、この計画見直しの背景を分析します。区民の反発や事業者の採算性という予測可能な対立構造を動かしたのは、実は中野区の財政計画における「想定外」の展開でした。その力学を3つの視点から解き明かします。

1. 「富裕層向け施設」への反発が、計画見直しの引き金に

再開発計画が直面した最初の障壁は、予測可能でありながらも、極めて強力な区民からの反発でした。当初の計画は、商業施設やオフィスに加え、高層マンションを建設する複合開発でした。しかし、近年のマンション価格高騰を背景に、この計画が「一部の富裕層向けの施設になる」との批判が強まったのです。

対照的に、かつての中野サンプラザは、ホール、ホテル、ボウリング場などを備え、住居機能を持たない「多くの人が利用しやすい施設」として親しまれていました。この公共性の高いイメージとの乖離が、区民の厳しい視線を招いた一因と言えるでしょう。この事実は、都市開発において地域住民の意向がいかに重要な要素であるかを改めて示していますが、これは物語の序章に過ぎません。

2. 新たな選択肢「定期借地権」、そのメリットと事業者の本音

計画が白紙になった後、中野区が新たに検討しているのが「定期借地権」の活用です。これは、区が土地の所有権を維持したまま、事業者に一定期間だけ土地を貸し出す仕組みで、区にとっては公有地という貴重な資産を手放さずに済む大きなメリットがあります。

しかし、この案は事業者側にとって避けられない経済的現実を突きつけます。区が事業者に対して行った調査では、次のような意見が明確に示されました。

定期借地の活用は床処分価格が減少し、事業収支に大きな影響を与える

土地所有と異なり、定期借地では事業者が建物のフロアを分譲・売却して資金を回収することが困難になります。これは事業の採算性を著しく悪化させる可能性を意味します。公共の利益を最大化しようとすれば、民間事業者の参加意欲を削いでしまう。このジレンマは、多くの再開発が直面する根源的な課題です。

3. 財源計画の変更という「想定外」が、新方針への扉を開いた

今回の計画リセットにおける、最も意外かつ重要な転換点がここにあります。それは、区の財政計画の変更という、一見ネガティブな出来事が、結果的に新しい選択肢を生んだという逆説的な展開です。

元の計画では、区は事業者から土地の転出補償金を受け取り、それを2024年に移転した新区役所の建設費に充当することで、区の財政負担をほぼゼロにする算段でした。しかし、計画が白紙になったことで、区はこの建設費を一般財源(区が通常業務に使う予算)で対応せざるを得なくなりました。

この資金計画の変更こそが、事態を動かす鍵となります。これは、区が土地売却によって得られるはずだった補償金に頼る必要がなくなったことを意味します。その結果、区は土地の所有権を維持するという、以前は考えにくかった選択肢を検討できるようになったのです。計画の「失敗」が、皮肉にも公共性を重視する新方針への扉を開いたと言えるでしょう。

まとめ:中野が直面する、未来への選択

中野サンプラザの再開発計画が頓挫した背景には、複雑な力学が働いていました。計画は、区民が求める「公共性」(真相1)と、事業者が求める「採算性」(真相2)という典型的な対立によって膠着状態に陥りました。しかし、この stalemate を打ち破ったのは、当事者間の交渉ではなく、区役所建設費の財源が一般財源に切り替わったという、全く別の「行政内部の財務的な判断」(真相3)だったのです。この想定外の出来事が、区に土地を売却する必要性をなくし、新たな可能性への道筋をつけました。

2025年6月に当初の計画が白紙となり、全ての視線は2027年2月に改定される新たな再整備事業計画に注がれています。この一連の出来事を経て、中野はどのような未来を選択するのでしょうか。今後の動向が注目されます。

えっ、修繕積立金が高い方がお得?2027年から始まる新築マンション「固定資産税の減税」の意外なカラクリ

2026-01-28

はじめに

新築マンションの購入を検討する際、多くの人が頭を悩ませるのが、住宅ローンの返済とは別に将来にわたって払い続ける「管理費」や「修繕積立金」です。「マンションは管理を買え」という言葉があるように、長期的な維持管理の質が資産価値を大きく左右します。特に、将来の修繕積立金が段階的に値上がりし、家計への負担が重くなることは、購入者にとって共通の不安要素でしょう。

こうした将来への不安を解消し、深刻化する老朽化マンション問題への対策として、国土交通省が新しい制度を打ち出しました。日本の住宅政策が「ストック型社会への転換」を目指す中で示されたこの一手は、2027年春から始まる、「最初から修繕積立金を計画的に高く設定する新築マンション」が、将来的に「固定資産税の減税」という恩恵を受けられるという、一見すると逆説的な仕組みです。

この記事では、この新しい制度があなたのマンション選びにどう関わってくるのか、3つの重要なポイントに絞って、誰にでも分かるように解説します。

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1. 「高く払って、後で得をする」逆転の発想

この新制度の最も重要なポイントは、将来の安心を「計画的な積立」という形で前払いすることで、税金の優遇を受けられるという点にあります。これは、分譲事業者が販売しやすさを優先して初期の積立金を不当に低く設定し、結果的に将来の管理組合が資金難に陥るという業界の慣行に、国がメスを入れる動きとも言えます。

優遇措置を受ける「認定マンション」になるための条件は、30年といった長期修繕計画を立て、その計画の最初と最後で所有者が毎月支払う修繕積立金の金額差が1.83倍以下に抑えられていることです。つまり、将来の大幅な値上げを避けるため、当初から計画的に、適正な積立金を集める仕組みが求められるのです。

この認定を受けたマンションが、将来、外壁塗装や屋根の防水工事といった大規模修繕を行った場合、その翌年度に支払う建物部分の固定資産税が、6分の1から最大で2分の1まで減額されます。減額割合は自治体によって決まりますが、例えば東京23区や横浜市では半額になる見込みです。

ただし、この税金の減額は、認定を受けていれば自動的に適用されるわけではありません。将来、実際に大規模修繕工事を実施し、その費用を支払った翌年度の固定資産税が軽減される、という点に注意が必要です。この仕組みは、目先の安さではなく、将来の積立金不足という最大のリスクを防ぎ、マンションの資産価値を長期的に維持するという、購入者にとって本質的なメリットを促すものと言えるでしょう。

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2. 新築時から「お墨付き」がもらえる安心感

この新しい制度は、実は2022年から既存の中古マンション向けに始まっていた「マンション管理計画認定制度」を、新築物件にも拡大するものです。

認定は、まず新築マンションの分譲事業者が修繕計画などを整えて自治体に申請し、引き渡し後に購入者で設立される管理組合がその認定ステータスを引き継ぐ流れになります。一度受ければ終わりではなく、5年ごとの更新が必要です。なお、詳細な認定基準案は現在最終調整中で、2025年度内に国土交通省の検討会に示される予定となっており、今後の動向にも注目が必要です。

この「認定」が持つ意味は、単なる税金の優遇だけではありません。それは、そのマンションが**「長期的に適切に維持管理される計画を持っている」という公的な証明(お墨付き)**になるのです。将来、あなたがそのマンションを中古物件として売却する際、この「管理計画認定マンション」という事実は、買い手にとって大きな安心材料となり、資産価値を維持・向上させる上での新しい価値基準になる可能性があります。

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3. 固定資産税だけじゃない、隠れた金融メリット

この制度の魅力は、固定資産税の減税だけにとどまりません。認定を受けることで、管理組合が利用できる金融面でのダブルの特典が用意されています。

  • 共用部リフォームのために住宅金融支援機構から融資を受ける際の金利が低くなる。
  • 管理組合向けに機構が発行する債券の利率が上乗せされる。

これらの金融メリットは、管理組合の財政基盤を安定させ、必要な修繕工事を適切なタイミングで着実に実施するための強力な後押しとなります。結果として、マンション全体の住環境と資産価値が守られることに繋がり、住民一人ひとりにとっての利益となるのです。

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では、購入検討者はどう動くべきか?

この新制度を理解した上で、賢いマンション選びをするためにはどうすればよいのでしょうか。それは、これまでの「初期費用が安い方が良い」という考え方を転換し、修繕積立金を「コスト」ではなく「資産価値への前払い投資」と捉えることです。低い積立金は将来のリスクの先送りに他ならず、計画的に設定された適正な積立金こそが、長期的な安心と価値を担保します。

具体的には、モデルルームなどを訪れた際に、営業担当者に次のような質問を投げかけてみることが重要です。

  • 「この物件は『管理計画認定』を申請する予定ですか?」
  • 「認定取得を前提とした長期修繕計画と修繕積立金の設定案を見せてもらえますか?」

これらの質問への回答が、そのデベロッパーがマンションの長期的な価値維持にどれだけ真剣に取り組んでいるかを測る、一つの試金石となるでしょう。

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まとめ

今回ご紹介した新制度は、マンション選びの考え方を大きく変える可能性を秘めています。

  1. 計画的な積立: 当初から適切な修繕積立金を設定することで、将来の大規模修繕後に固定資産税が減額される。
  2. 公的な認定: 国が認める「管理計画認定マンション」というお墨付きが、将来の資産価値の裏付けとなる。
  3. 金融メリット: 税金だけでなく、融資や資産運用面でも優遇があり、管理組合の財政をサポートする。

この制度は、これまで曖昧だった「管理の質」という価値を公的に可視化する画期的な試みと言えるでしょう。これからのマンション選びは、単に「初期費用の安さ」だけで判断する時代から、「長期的な資産価値と安心」を重視する時代へとシフトしていきます。

将来的には、この認定の有無が中古マンション市場における価格形成の重要な要素となり、認定物件と非認定物件の間で「資産価値の二極化」が進む可能性も考えられます。2027年以降、あなたが新築マンションを選ぶとき、この「管理計画認定」は一つの重要な判断基準になるのではないでしょうか?

知らないうちに東京の家賃が上がる?忍び寄る「定期借家」急増の波

2026-01-27

東京の家賃は上がり続けている──多くの人が肌で感じていることではないでしょうか。しかし、その背景には、あまり知られていない賃貸契約の形態、「定期借家(ていきしゃっか)」の急増という、静かな地殻変動が起きています。この記事では、今まさに東京の賃貸市場で何が起きているのかを、データと共に解説します。

1.静かなる主流化。東京23区、賃貸の1割が「定期借家」という現実

まず注目すべきは、その驚異的な増加スピードです。LIFULL HOME’Sのデータによると、東京23区の賃貸マンションに占める定期借家の比率は、2025年には10.0%に達しました。2023年には5.8%、それ以前は長らく5%前後で推移していたことを考えると、これはまさに「急増」です。これは、これまで安定していた賃貸市場の契約慣行が、経済情勢の変化を受けて根本から変わりつつあることを示す重要な指標です。

この傾向は、港区や千代田区など交通の便がいい都心部の築浅物件を中心に特に顕著です。例えば渋谷区では、2024年の11.7%から18.9%へと大きく比率を伸ばしています。

そもそも「定期借家」とは、2年などと契約期間があらかじめ決められている賃貸契約です。期間が満了すると、住人は退去するか、あるいは家主が提示する新しい条件で再契約を結ぶ必要があります。期間満了後に退去を迫る可能性がある分、定期借家の家賃は一般的な物件よりも低めに設定されやすいという特徴があります。

2.インフレ時代、家主の「切り札」に。なぜ今、定期借家なのか?

もともと定期借家制度は、転勤などで一時的に持ち家を貸し出すケースで利用されることが一般的でした。しかし今、その位置づけは大きく変わり、物価上昇時代を乗り切るための家主側の戦略的な「切り札」として活用が広がっています。

最大の理由は、インフレへの防衛策です。一般的な賃貸契約では、家主が一方的に家賃を上げることは法律上難しくなっています。しかし定期借家であれば、契約更新のタイミングで、家主はより自由に家賃を設定し直すことが可能です。2022年以降、物価上昇が定着し、物件の修繕に必要な資材費や人件費も高騰しています。これに加え、ローンを組んで投資用物件を運用する家主にとっては、金利上昇による利払い費の増加も無視できません。

さらに、コロナ禍で借り手が見つからず、やむなく家賃を下げた物件のオーナーが、当時の収益悪化分を取り戻そうとする動きもこの流れを後押ししています。こうした複数のコスト上昇圧力に直面する家主にとって、当初の家賃を多少低めに設定してでも、数年ごとに柔軟に価格を見直せる定期借家のメリットが、かつてなく大きくなっているのです。

3.家賃は「安定資産」ではなかった?31年ぶりのインフレが示す未来

定期借家の増加がもたらす最も大きな影響は、家賃インフレの加速です。これまで価格変動が小さい「安定資産」と見なされてきた家賃ですが、その常識は覆されつつあります。

総務省の消費者物価指数によると、2025年12月の東京都区部の「民営家賃」は、前年同月比で2.0%上昇し、実に31年ぶりに2%台に達しました。この背景には、新築・中古マンションの価格高騰によって購入を諦めた層が賃貸市場にとどまり、需要が高まっているという要因もあります。貸し手市場が強まる中で、定期借家の増加は家賃上昇にさらに拍車をかける可能性があります。

LIFULL HOME’S総研の中山登志朗チーフアナリストは、この状況に警鐘を鳴らします。

都心部を中心に家賃のインフレを助長し、社会問題になりかねない。

この言葉が示す「社会問題」とは、単に家賃が上がることだけを指すのではありません。これまで固定的で予測可能だった家賃という家計の支出項目が、市場動向によって変動する不安定なものに変わってしまうことを意味します。これは、立場の弱い借り手の生活設計に大きな影響を及ぼしかねない、構造的な変化なのです。

東京の賃貸市場で進む「定期借家」の増加は、物価上昇という経済状況に対する家主側の合理的な防衛策です。しかしそれは同時に、都心部の家賃インフレを加速させ、借り手の負担と生活の不確実性を増大させる大きな要因となっています。

賃貸市場のパワーバランスが変化するなか、東京で暮らす借り手にとって、住まいの未来はどのように変わっていくのでしょうか?

都心はバブル、郊外は失速? 新築マンション価格が過去最高なのに、家探しが楽にならない「5つの意外な真実」

2026-01-27

「首都圏の新築マンション価格が過去最高を更新」――このニュースを目にして、「もう自分には家は買えないのではないか」と不安を感じた方も多いのではないでしょうか。しかし、この衝撃的な数字の裏側では、都心と郊外で全く異なる現実が進行しています。

この記事では、平均価格の数字だけでは見えてこない首都圏マンション市場の「5つの意外な真実」を解き明かし、複雑化する現状を理解するための、そして賢い住宅購入を考えるためのヒントを提供します。

1. 全体が高騰しているわけではない。都心と郊外で市場は分裂している

まず押さえるべきは、市場の「二極化」です。首都圏全体の平均価格は9182万円(前年比17%増)、特に東京23区は1億3613万円(同22%増)と、1973年の集計開始以来の最高値を記録しました。神奈川県(7165万円)や埼玉県(6420万円)、千葉県(5842万円)でも軒並み価格は上昇しており、この高騰が郊外の実需層を直撃しています。

しかし、その一方で郊外では価格高騰により顧客離れが起きています。不動産経済研究所の松田忠司氏は、「売れ残りが出ており、値下げをしているケースもある」と指摘しており、市場に変調が起きていることがわかります。

この背景には、購入者層の違いがあります。都心は富裕層や海外投資家の旺盛な需要で価格が引き上げられているのに対し、郊外は実際に住むことを目的とする「実需層」が中心です。その実需層が、もはや現在の価格についていけなくなっているのです。

2. 価格だけの問題ではない。そもそも選択肢が過去50年で最も少なくなる

問題は価格だけではありません。これから家を探そうとする人々は、深刻な「供給不足」に直面する可能性があります。不動産経済研究所は、2026年の首都圏における新築マンションの供給戸数を、25年の予測値からさらに12%減少し、「過去50年で最低の水準」となる2万3000戸と予測しています。

なぜこれほどまでに供給が減るのでしょうか。都心部ではもともと用地が少なく、ホテルやオフィスとの土地の奪い合いが激しいことが一因です。しかし、より深刻なのは、郊外でデベロッパー(開発業者)が開発計画そのものを見送る動きが出ていることです。例えば、三井不動産レジデンシャルは郊外で仕入れたマンション用地のうち、駅から遠いなど立地条件が不利な数カ所で着工を見送っているといいます。

三井不動産レジデンシャルの山田貴夫副社長は、その内情を次のように語ります。

「郊外の購入者層の予算を考えると、建築コストの上昇分を販売価格に転嫁しにくい」

この言葉は、デベロッパーが「作りたくても、コストが高すぎて利益の出る価格では売れない」というジレンマに陥っていることを示しています。この構造が、供給減の大きな要因となっているのです。

3. 「お求めやすく」がもう無理に。郊外型のお手頃ブランドが岐路に立っている

供給減は、特にこれまで郊外の住宅購入を支えてきた「手頃な価格帯のマンション」という選択肢を脅かしています。

例えば、野村不動産ホールディングスは、価格を抑えた郊外型マンションブランド「オハナ」を展開してきました。しかし、同社の新井聡社長は「こうした価格帯の物件供給は難しくなる」と述べており、ブランドの存続自体が岐路に立たされていることを示唆しています。

この動きは、平均的な収入の「実需層」にとって、郊外での住宅購入のハードルをさらに引き上げる深刻な問題です。手の届く価格帯の選択肢そのものが、市場から消えつつあるのです。

4. デベロッパーの利益追求だけが原因ではない。本当の犯人は「建築費」

この異常な価格高騰は、単にデベロッパーが利益を追求しているから、という単純な話ではありません。本当の犯人は、高止まりを続ける「建築費」です。

建設物価調査会によると、東京地区の鉄筋コンクリート造マンションの建築費指数(2015年=100)は25年12月分で142.2に達し、過去最高の上げ幅を記録しています。

さらに追い打ちをかけているのが、住宅ローン金利の上昇です。三菱地所レジデンスの宮島正治社長は、「フルローンで住宅を買う場合が多い郊外の実需層にとって、金利上昇は需要のブレーキ要因になる」と分析します。宮島社長が指摘するように、建築費高騰と金利上昇という二重苦が、特に郊外の購入者を直撃しているのです。

つまり、建築費の高騰は「供給側」であるデベロッパーの事業計画を頓挫させ、金利の上昇は「需要側」である購入者の資金計画を直撃するという、市場の両側面を同時に締め付ける構造になっているのです。

5. 対策は打たれているが、効果は限定的かもしれない

この社会問題化する状況に対し、政府や不動産業界も対策に乗り出しています。

  • 業界の対策: 不動産協会は、投機的な短期転売を防ぐため、購入戸数の制限などを盛り込んだ対策をまとめています。
  • 国の対策: 住宅ローン減税の適用期間を5年間延長し、中古マンションについては床面積要件や上限価格を緩和するなど、住宅取得を後押しする制度拡充を行っています。

しかし、これらの対策が根本的な解決策となるかは不透明です。特に転売対策については「効果が薄いとの見方が多い」のが実情です。今後の金利の上昇状況によっては、ローン減税だけでは不十分で、さらなる購入促進策が必要になるとの声も上がっており、対策が現状に追いついていない可能性が懸念されます。

結論:まとめ

現在の首都圏マンション市場は、単なる価格高騰という一言では片付けられない、構造的な問題を抱えています。都心では富裕層の需要が価格を牽引する一方、郊外では建築費と金利の高騰が「実需層」の購買力を削ぎ、その結果デベロッパーが供給自体を絞り始め、「手頃なブランド」さえも市場から姿を消そうとしています。政府や業界の対策もこの負のスパイラルに追いついていないのが現状です。

選択肢が減り、コストが上昇し続ける中で、これからの「普通の暮らし」のための住まいは、どこに、どのように見つければ良いのでしょうか。平均価格の数字に惑わされず、市場の構造的な変化を理解することが、その答えを見つける第一歩となるはずです。

「ホテル一体型寺院」の参道は聖域か? 最高裁が下した、固定資産税をめぐる意外な判決の裏側

2026-01-27

導入

大阪の有名な大通り「御堂筋」。その名の由来となった寺院「南御堂」が、その伝統的な山門を近代的な高層ホテルと一体化させました。2019年の開業時には「国内初の『山門一体型ホテル』として話題を呼んだ」この建築は、伝統と現代が融合した象徴的な試みとして注目されました。

しかし、この革新的な建築物は、意外な税金の問題を引き起こします。参拝者が本堂へ向かうために通り抜けるビルの下の空間は、宗教施設として非課税の「境内地」なのでしょうか。それとも、課税対象の「収益事業用地」なのでしょうか。この問いをめぐる法廷闘争は、ついに最高裁判所まで持ち込まれました。

1. そもそも、何が争われたのか? 「山門一体型ホテル」の税金問題

この訴訟は、大阪市中央区に位置する寺院「南御堂(真宗大谷派難波別院)」と、課税主体である「大阪市」との間で争われました。老朽化した建物を建て替える形で誕生したこの複合施設をめぐり、両者の主張は真っ向から対立しました。

対立した双方の主張

  • 寺院側の主張: ビルの下にある参拝者のための通り抜け通路(開口部)は、宗教活動に不可欠な「参道」である。したがって、この部分は固定資産税が課されない「境内地」にあたる。
  • 大阪市の主張: ホテルビルが立つ土地全体を「収益事業用地」と判断。これに基づき、約3億1800万円の固定資産税を課税した。

この訴訟は最高裁まで争われ、その過程で司法判断は二転三転します。第一審の大阪地裁では寺院側が敗訴しましたが、続く第二審の大阪高裁では一転して寺院側が勝訴しました。第二審では、通路部分が「敷石が敷き詰められて参道の一部を形成し、天井は寺院を連想させる格子状」であるといった物理的な特徴に加え、その空間で商業行為を行っていないことなども踏まえて「境内地」と認定されたのです。この判断の揺れは、問題の難しさを浮き彫りにしました。

2. 最高裁の結論:決め手は「上空」にあった

最終的に、裁判官4人のうち3人の多数意見により、最高裁判所は第二審の判決を破棄し、寺院側の請求を退ける判断を下しました。これにより、寺院側の逆転敗訴が確定しました。

判決の核心となったのは、地方税法が定める非課税の条件である「もっぱら本来の用に供する境内地」に当たるかどうか、という点でした。そして、最高裁がその判断において最も重視したのは、これまであまり注目されてこなかった意外なポイントでした。

最大の論点:土地の「立体的な」利用

最高裁の判断における最大のポイントは、以下の点に集約されます。

  • 最高裁は、問題となっている通路の「真上」に賃貸用の商業施設(ホテル)が建っている事実を重視しました。

つまり、たとえ地面部分が参道として利用され、宗教的な装飾が施されていたとしても、その上空部分が明確に収益事業のために利用されている以上、その土地全体が「もっぱら」宗教の本来の用に供されているとは認められない、と結論付けたのです。地面の用途だけでなく、土地の立体的な利用状況全体が、その法的性格を決定づけるという極めて厳格な解釈が示されました。

3. この判決が問いかけるもの:現代における「聖域」の境界線

この判決は、単なる一つの税務訴訟にとどまらず、都市部における宗教法人の不動産開発モデルそのものに法的な楔を打ち込むものです。伝統維持のための収益事業が、その根幹である「聖域」の法的定義を揺るがすというジレンマを突きつけました。

現代社会において、宗教的な空間、いわゆる「聖域」はどこまで認められるのでしょうか。その境界線は、誰が、どのような基準で引くべきなのでしょうか。

結び

「山門一体型ホテル」をめぐる訴訟は、土地の法的評価において、地面の見た目や用途だけでなく、その「上空」を含めた立体的な利用実態がいかに重要であるかを明確にしました。最高裁が示したこの厳格な判断は、宗教法人が非課税特権を主張する際のハードルを改めて示すものとなりました。

伝統の維持と都市開発の要請との間で、宗教法人は今後、より慎重な法的スキームの構築を迫られることになるでしょう。

執筆者情報

司法書士シエン
東京都新宿区北新宿1丁目8番22号斎藤ビル102
坂大一雄(ばんだい かずお)

・司法書士
・1級ファイナンシャルプランナー
・上級相続診断士
・民事信託士

相続・遺言・家族信託を中心に、「法」と「お金」の両面から、
ご家族が円満に次の世代へバトンを渡せるようお手伝いしています。

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